私は一年間浪人しましたが、その時の体験が今も私を支えてくれています。高校時代勉強がつまらなく思え、読書三昧の日々を送っていました。卒業後、浪人したら何とかなるだろうと甘い気持ちで予備校へ。その甘さを打ち砕いてくれたのが、入学早々行われた模擬試験でした。進学校出身でしたが、見事にビリ!試験結果が廊下に張り出されたとき、自分の中に残っていた甘い期待と根拠なき自信とプライドが見事に打ち砕かれました。初めて現実の自分と向き合うこととなりました。与えられた一年間という時間の中で、何が出来るのかを考え、それを精一杯やろうと心に決めました。第一に予備校の授業の予習と復習は必ずやること、第二にどの授業も最後まで出ること、第三に手を広げずに予備校のテキストを中心に勉強し、他の参考書や問題集は余裕があればやることでした。予備校を生活の中心に据えて、あれもこれもと手を広げずに必要最小限のことを完璧にこなすというのが建てた目標でした。現役の時は不規則だった生活も自ずと規則正しいものとなっていきました。そうして何とか無事大学に合格することが出来たのです。合格掲示板の前で自分の番号を見つけたとき、うれしいというよりむしろ肩の荷が降りたというかホッとしたことを覚えています。
こうした体験から学んだことは、まず現実の自分を知るということ、次に目標を決めたら目標と自分の距離を測り、目標達成のためのなすべき必要最小限のことを明確にすること、最後に一心不乱に為すべきことに集中することです。生徒たちを指導するにあたって、この教訓を生かすようにしています。
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