「規則正しい生活習慣」が確立され、「モチベーション」も持てるようになり、「学習習慣」もついてきた。いよいよ、「勉強方法」が問題になります。個別具体的な各教科の勉強方法はまた別途論じることにして、ここでは一般的なお話をしようと思います。
受験勉強というのは、立派なマネジメントであり、『時間と情報の管理』がポイントとなります。
まず、『時間の管理』に関しては、規則正しい生活習慣ができ、学習習慣がついてきたならば、次に必要なのは、学習計画を立てることとそれを実際に実行できたかをチェックする体制づくりです。ずっと先までの細かい計画は必要ありません。今からならば、先ずは春先までで良いでしょう。高2生ならば、受験に必要な科目の今までの成績を確認することから始めます。弱点教科は何か、抜けている分野はないか、補強すべき分野はどこか、本格的な受験勉強を始める前に、総点検をしていきます。そうすると何をやればいいのか見えてきます。そこで一週間ごとの大まかな計画を立てていきます。やるべきことを箇条書きで結構ですので挙げていきます。大事なのはどれだけ実行できたか、をチェックすることです。そのために進行表を作っておきましょう。『予定は大まかに、実行した結果はこまめにきちんと記録すること』です。そうすれば、予定に縛られている感が少なく、しかも、自分が何をどれくらいやったか進行表から確認できるので満足感も得られ、継続していく励みにもなります。ちなみに、TSKでは各生徒に学習進行表を渡して、その日実際に行った学習時間と内容を記入させるようにしています。
次に『情報の管理』ですが、キーワードは『情報の一元化、集約化・効率化』です。
大学受験で勉強すべき範囲は、高校まで習った範囲内で出るのが原則です。そこでは「狭く深く」勉強することが求められます。『情報の一元化』として、1教科で使う参考書や問題集を絞ったうえで何回も繰り返しやることです。私が高校生の頃寮生活をしていましたが、私の前の席のH君はいつも数学が一番で数学の教師も彼には一目置いていました。彼の使っていた数学の参考書はたった1冊でした。それをどこに行くにも持ち歩いて、暇さえあれば読んでいました。英語の場合、ある程度詳しい文法書と辞書を1冊用意し、疑問に思ったことは何度でも必ずそれで調べること。特に辞書は定評のある紙の辞書を使うこと。電子辞書は本格的な学習には向いていません。『情報の集約化・効率化』ですが、ノートをどう利用するかがポイントです。ノートは教科ごとにすること。1冊のノートに複数教科を書き込むなんてもっての外です。できればファイル式にして、その教科に関するプリント類もまとめておくこと。プリントを散逸させることはせっかく習った知識を散逸させることに繋がります。TSKでは各教科のノートをファイル式にして、必ずプリント類もそのノートにまとめておくよう指導しています。ノートやプリント類を一か所にまとめさせることで知識の散逸を防ぎ、いつでも知識を効率よく確認できるようにしているのです。その時必要な情報=知識をすぐに取り出せる状態にしておくことが肝心なのです。うろ覚えな知識を確認しようとするたびに、あちこちプリントやノートを探し回るのは全くの無駄な労力であり、学習の大きな阻害要因となります。ノートもなるべくスペースを空けて、後から書き込めるようにしておくといいでしょう。特に歴史や地理などは後からどんどん書き込んで自分なりのノートを作ることが最大のポイントです。TSKでは慶大生の卒生チューターN君に自分が作った日本史ノートを後輩のために開示してもらっていますが、ノート作りに大いに参考になると受験生たちから大好評です。また、TSKの卒業生で立教大学へ進学したS君は、大学へ行ってからも独力で学習してTOEICで923点をとりましたが、TSKで自分が作ったノートが大いに役立ったと言っていました。ノートが出来上がったら、背表紙にタイトルを書き、インデックスをつけておきます。1教科が何冊ものファイルノートになる場合には大きなファイルにまとめます。一度出来上がっても、情報を追加したり更新したりして、常に進化させていきます。これが完成する頃には第一志望校に受かっていることでしょう。