成績不振の根本の原因その2 『モチベーションはあるか』

「先生、うちの子に何とかやる気を出させてください」と言われることがあります。

こういう親御さんには次のようなお話をさせていただきます。

 馬を水辺まで連れていくことは出来ても実際に飲むのは馬の意志です。勉強も同じです。お引き受けする場合、学習面で、小さな成功体験を積み重ねさせることでやる気を引き出すとか、分かりやすい説明や楽しい授業といった雰囲気作りで、学習への興味・関心を引くとか出来るだけの工夫と努力はしますが、これは、根本的な解決策にはなりません。というのも高校生ともなれば、自我も確立しつつあり、小学生のように親や教師の指示に素直に従ってくれません。ある意味、もう大人ですので、最後のところは自分で自覚して、納得して、能動的に勉強に取り組むというメンタル面が大事です。いかに我々が工夫して教えたところで効果は限定的です、最後の決め手はあくまで本人の意志、本人自身が持っている何らかの勉強へのモチベーションなのです。

 面談の時には、必ず次のことを質問します。「興味を持っている教科は何か」、「志望は決まっているか」、決まっているとして、「理系か文系か」、「行きたい大学はあるか、その理由は何か」、「オープンキャンパスへ行くなど、進学のための何らかのアクションを起こしているか」等など。質問を通して、本人の学習や進学へのモチベーションの有無などを確認します。これは親御さんの前ばかりではなく、体験授業の時にも尋ねます。親の前ではなかなか本音が出てこない場合が多いからです。親の目から見て、まじめな子ほど、要注意!です。時間はきちんと守る、宿題も必ずやってくる、授業中も講師の言うことをしっかりと聞き、ノートもとっているなど、生徒としてきちっとやるべきことをやっているにもかかわらず、他の生徒たちは成績が伸びているのに、一向に成績が伸びない生徒がいます。同じクラスで、同じテキストを使い、同じように教えていても、です。なんのために自分は勉強するのか、明確なモチベーションがないからです。 

 これは叱っても無駄です。そもそも、そういう生徒にとって、勉強は自分のためにではなく、例えば、親がやれと言うからやっているなど、全くの他人ごとでやっている、ないしは親のためにやってあげているという感覚なのが大半です。根本的な対処方法は、何のための勉強なのかをじっくりと時間をかけて親子で話し合うことです。勉強とは何か、なんで自分はやらねばならないのか、勉強以外にやりたいことがあるのか、あるのならば将来どうしたいのか等々。人生の先輩として、いろいろ重ねてきた成功や失敗を交えてお話をすれば、きっと何かお子さんの心に響くものがあるはずです。大学へ行く意義を自分で見出すことが出来たならば、後は勉強を一途にやるだけ!周囲のものが出来ることは、本人が勉強は自分のために必要だと気づいたときのために精いっぱい準備をしてあげることではないかと思います。今年もそういう生徒が何人かいます。教師として限界を感じつつも、少しでも早く自分の将来に自分で立ち向かわなければならないと気づく日が来るように格闘しています。

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